いまだビキニに抵抗感 中国ビーチバレー躍進の陰で

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いまだビキニに抵抗感 中国ビーチバレー躍進の陰で


 【北京=矢板明夫】北京五輪で中国のビーチバレー女子が大躍進し、21日に行われた決勝と3位決定戦で銀と銅の2個のメダルを獲得した。中国のこれまでの五輪最高成績は9位。国を挙げての強化体制が奏功し短期間で強豪の一角を担うようになった。しかし、国内でビーチバレーは広く認知されたとはいえず、競技人口は全国わずか100人にすぎない。いまだに「スポーツではない」と保守派に批判されることもある。

 中国の田佳、王潔組と大接戦の末、アテネ大会に続き2連覇を果たした米国のウォルシュは記者会見で「彼女たちは若いし、技術も素晴らしい。ロンドン五輪でどんな戦いをするのか想像もできない」と中国選手の進歩の早さに驚いた。

 中国では、伝統的な儒教と共産党の革命思想の両方の影響で、ビキニ水着でプレーするビーチバレーに対し根強い抵抗があった。「女性の露出度の高さで客寄せするスポーツ」という理由で1980年代初めに「精神汚染の一環」として批判され、外国映画がビーチバレーのシーンをカットして放映したこともあったという。

 しかし、96年のアトランタ五輪で正式種目となってから、中国は政府内にビーチバレーの担当部署を設け、メダル獲得を目的に力を入れ始めた。バレーボールチームから優秀な選手を選び、強化訓練を始めた。転向に対する選手や家族の抵抗もあり、今大会の銅メダリスト薛晨のようにビキニ水着を理由に家族の猛反対にあった女子選手も多く、担当者と監督が粘り強く説得した経緯もある。

 政府は巨額な予算を投じて練習、試合施設などを建設し、2004年に江蘇省連雲港市で国際大会も主催した。外国選手なら個人負担することが多い国際大会への遠征費用などはすべて国が支払い、ビーチバレーの選手1人にバレーボール選手の数倍の予算をかけているという。その結果、中国は驚異的な成長をみせ、今大会の大躍進につながった。だが、全国で男子チームと女子チームのメンバー計100人前後の選手以外、ビーチバレー人口はほとんどおらず、国民の間で全く普及していないのが実態だ。

 この日、会場に来ていた女性会社員(25)は「見ていて美しいと思うが、違う世界の人たちだと思う。刺激がありすぎて自分はやりたいと思わない」との感想が、中国国民を代表した意見なのかもしれない。


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